物語を作るために、エニアグラムの「統合・分裂」を考えている人がいて、
わりとおもしろいので、私は楽しみに読んでいる。
これは簡単に言うと、
【物語の主人公の親友2名は、
主人公の"統合先"と"分裂先"になっているものが多い】
というもので、
たとえば『進撃の巨人』でいうと(っていうかこれしか知らんのだが)、
これに出てくる仲良し3人組は、
(友達)ミカサ【T1】=T7の分裂先
(主人公)エレン【T7】
(友達)アルミン【T5】=T7の統合先
ってことで、うん、たしかにそうなってる。
そう言われてみれば、物語にはこんな感じの3人組が多いかもしれん。
それって、すごい気付きなのかもね。
で、それを読んだ私は、いかにも私らしい考え方で、
「この公式を現実世界にも応用して、何かうまいこと使えないだろうか?」
と長いあいだ考えていたのだが、結果としては
「それはたぶん不可能であろう」
という結論に達した。
その理由は、たとえば上記の巨人のやつの例で言えば、
・主人公がT5寄りになっているとき、T1はハブである。
・主人公がT1寄りになっているとき、T5はハブである。
ということで、どう考えても安定しないと思ったからである。
また別の角度から言えば、ストーリーがT7の価値観で進むことで、
主人公は統合も分裂も許されるのに、
T1は分裂が許されず、T5は統合が許されないことになる。
そんなの、不公平すぎるやん。
つまりこれは、主人公に都合が良すぎる関係なのである。
むしろ物語の3人組は、現実では最も不安定な関係とさえ言えるかもしれない。
そして作家側もそれを承知しているからこそ、
【3人は幼なじみ】(=ちょっとやそっとじゃ切れない関係)
という葵の印籠のような設定を、わざわざ付与するのではないだろうか。
(なお主人公が369であればこの設定は不要となる)
てことで、幼なじみ設定ならいいが、もしこれが現実であれば、
子供ほどの柔軟性を持たない大人達の間では、
このような関係はただちに崩壊するような気がする。
実際、私の周囲にいたT3(E)・T6(I)・T9(I)の3人組も、
たしかに一瞬は仲良くなったが、
しばしばT6やT9がハブられたりするうちに、
そのうちT3がハブになって激怒し、崩壊してしまった。
また、私の知人のESTP(T2)女性も、以前こんなことを言っていた。
「私は女ばかりの三姉妹だったの。
私は三姉妹がすごく嫌だったから、子供は4人作ろうと思っていたの。
だって、4人=2+2になるから、ハブられることがなくなるでしょ?
でも4人を育てるのはお金がかかるから、
結局私も3人にして、今は男三兄弟の母親なんだけどねw」
と。
まあ私としては、4人だからってそううまくいくとは限らないと思うのだが、
彼女はとにかく「3人はすぐハブになるから嫌!」だったのだそうだ。
私はソーシャル崩壊者なので4人より3人のほうがよほどラクだが、
世間一般で言えば、3人組というのは意外と不安定なのかもしれない。
そして私自身(T5)の場合について考えると、
私を主人公とするなら「T7とT8の友人」ということになるが、
そんなドEの代表格のような2人と一緒に「仲良し三人組」を
維持するなんて、どう考えても無理なような気がする・・・。
現実的には、ESTP7w8とENTJ8w7の「相思相愛の2人」に
たまにゲストとして混ぜてもらう、程度の付き合いしかできん。
その程度の関係なら、たしかにこの2人と飲むのは楽しい。
(ただ、その時の私の状態によって、
「2人のうちどちらかに好かれ、どちらかに嫌われる」
みたいな感じになりがちで、それがめんどくさいのだけど)
ということで、私が言いたかったことは
「大変おもしろいので前向きに考えてみたけど、
残念ながらリアルには応用できそうになかった」
という話である。
ただ、もし最初から
「物語と現実は違う。物語は主人公中心の都合で作るのが当たり前」
ということならば、
たしかにそのほうがストーリーが展開しやすそうなので、
【統合先友人-主人公-分裂先友人 の3人組】
は非常に有効な設定なのかもしれない。
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あと余談だが、もし現実世界での3人組を考えるのであれば、
2-5-8(リャン・ウー・パー)・・・強欲トリオ
1-4-7(イー・スー・チー)・・・盗賊トリオ
3-6-9(サブ・ロー・キュー)・・・談合トリオ
みたいな「筋の関係」のほうがいいような気がする。
これだと、たとえばT5から見ると
「T2は愛の亡者だし、T8は権力の亡者だし、まったくこいつらは・・・」
という感じで、互いに一線を引いた関係でありながら、
「価値観が遠すぎて、口出しする気にもならない」
という不戦協定が成り立つような気がするからである。
ついでに、強欲トリオと呼ばれるT2・T5・T8の悪い所を見せ合うことで、
「こいつらみたいに強欲になったらアカンな!」と思えるのも美味しい。
一線を引いた関係は、案外悪くないような気がする。
互いに「こいつらみたいにならないようにしよう」という警告をもらうことで
T5がT5らしくあり続ける(統合も分裂もしない)ための抑止力になり、
そして物事を解決するときには、「強欲」以外の公約数を持たない3つの能力のうち、
どれか1つが役立ったりしそうな気がするからである。
ということで、リアルでは「筋の関係」がいいかも?と思ったのだが、
実際にT2やT8の友達を作るかと言うと、
そんな趣味の合わなそうな友達をわざわざ作ろうという意欲は湧かない。
でも、もし何か素晴らしい「偶然」があって、
なぜかこの3人で組まないといけなくなったときには、
このことを思い出してみようと思いました。