私は昔、NHKの番組をよく見ていた。
これにはどうでもいい家庭の事情が関係している。
私はE型の妻が帰宅したらすぐにテレビをつけやがるのが苦痛であったため、
テレビに関する争いがたびたび起こっていたのだ。
私:「うるさいからテレビを消してくれ。」
妻:「いやや、見る。」
このような不毛な争いを避けるため、私はひとつの妥協案を出した。
「じゃあ、こういうのはどうだ。
僕はバラエティ番組とかは音声を聞いてるだけで脳が腐りそうなので、
せめてNHKにしてくれないか?
NHKなら、【キャー!!】とか【ポヨヨヨ~ン】とかの
殺意を発生させる音が少なめだから、僕としても許容できる。
てことで、NHKならいつでもつけてOKというのはどう?」
ということで、以後そのようになったのである。
当時見ていたNHKの番組のうち、私のお気に入りは戦争関連の番組であった。
特に大本営ネタは夫婦共通の笑いのツボで、
いったいどうやってこんなにおもしろい口調を考えついたのだろうと感心し、
私は今でも折に触れ、大本営の物真似をしている次第である。
【大本営発表の動画】
(説明するまでもないと思うが、実際に沈んだ正規空母など一隻たりともない)
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話は変わるが、私の妻はESTJ6w七型である。
3w2のESTJほどガチガチの伝統主義ではないが、
とはいえESTJなので、やっぱり
「最近の若者は・・・」
なんてことを考えがちな性分でもある。
以下、新入社員に関する妻との会話。
妻
「あんたも知ってる〇〇さんだけどさ、
最近チームに新人が入って、頭を抱えてるよ。
なんかすぐにタイパがどうとか言ってくるから、
その子と会話するのが苦痛でしょうがないんだってさ。」
私
「そんなの僕らのときだって、1つ下のM君とかいつも
【とにかくゼニっすよ、ゼニ! 仕事の内容とかどうでもいいっす!】
とか言いまくってたやん。当時の年寄りは引いてたと思うで。
いつの時代も一緒とちゃうの?」
妻
「そんなことない。M君はなんだかんだで会社に愛着があり、
【この会社は給料いいから最高っす!ゼニライフ万歳っす!】
とかも言ってたから、おじさん達には案外かわいがられてたよ。
そしておじさんに愛され過ぎて残業地獄にハマってたわw
M君の話はともかく、私らの時は内定辞退なんて滅多に
いなかったし、早期に退社する人も少なかった。
でも今は内定辞退者が3割もおるんやで?3割やで?
時代は変わったなあって思うわ。」
私
「まあ今は超売り手市場やから、そうなるのは必然やろな。
嫌なら雇わなきゃいいんだよ。
ちなみに僕はもう、とっくにそうしてるで?
【ワレワレ大本営株式会社ハ、モハヤ若者ヲ相手トセズ!!】
って、普段から言いまくってるし。」
妻
「その大日本的な考え方は最高やけど、それじゃ会社が維持できへん。」
私
「ええやん、別に。
僕らは僕らが楽しく過ごすために仕事してるんだよ。
若者は若者で、縮小した会社で彼らが楽しくなるようにすればいいよ。
さっさとあきらめたほうがいいと思うけど?」
妻
「私はそれでもいいけど、株主はそれでいいって言うわけがない。
今後もいっぱい稼げるように、しっかり後輩を育てなさいって
言うに決まってるやん。株主からそう言われたら、その方針に
従って行動するしかないやん。」
私
「まあそりゃそうだ。それはご愁傷様としか。
うん、頑張って後輩を育ててくださいね。グヒヒw」
妻
「いいなー。私も相手トセズ!って言ってみたいわ。いいなー。」
私
「あれ? 怒ると思ったのに、意外と余裕あるな?」
妻
「だって、私のチームにも新人はおるけど、〇〇さんみたいにハズレは
引いてないからね。いつもながら、〇〇さんの運の悪さはすごいw
私のチームの子はスポーツ入社の、がんばり屋の女の子やねん。
いい子が割り当てられて、ほんまラッキーやったわ。
ただ、タイパという言葉は周辺から何回も聞くから、
なんかその言葉自体がイラっとくるなーと思ったわけよ。」
私
「ああ、本題はそこやったんか。例によって若者言葉がむかつくとw
自分はタイパという言葉がむかつく、それは何故なのかってことやね?
えーと、それは自営業における売上と利益率の話に似てるかもしれんな。
たとえば売上が10万しかなかったら、たとえ利益率100%でも利益は10万やろ?
売上が10万程度じゃ、時間単価や収益率でイキったって何の意味もない。
つまり絶対額が小さい段階から効率のことばっか考える奴はアホ、と。
これはサラリーマンでも同じことで、給料の絶対額が少ない段階から
効率よく稼ぐことを考えるのは早計で近視眼的だと言いたいのでは?」
妻
「そうだ、それだ!
なんか現時点の収入ですぐ満足してるのが見え隠れするあたりが
気に入らんかったんかも。なんかすっきりしたわ。
なぜすぐにわかった?」
私
「それはまあ、僕の父親がいつも言ってたことやからかな?
君も知ってる通り、僕の父親はろくでなしだったくせに
僕にえらそうに【家主にだけはなるな】とかいつも言っていた。
父親曰く、人間というのは収入源とその上限が固定されると、
あとはもうセコケチなことしかやることがなくなるんだとさ。
父はいつもセコケチが一番嫌いって言ってたから、
その代表的存在が取引先のサブスク家主達だったんだろうな。
逆に、父は収入を増やそうと営業しまくる人間がすごく好きで、
そのへんは君と気の合うところだったかもな。」
妻
「なるほど、さすがお義父さんやな。わかるわー。
私は営業はできないけど、収入を増やそうとしない人は好きじゃないわ。」
私
「さすがも何も、父親は収入をすべて競艇場に捧げるクズやったけどな。
ところで、ひょっとしてその新人は会社に残るつもりが無いのでは?
それなら今の会社での収入にこだわることのほうが近視眼的ということになり、
今のことよりも転職後のことを考えるべきだと思ってるのかもしれんぞ。」
妻
「それはなんかむかつく。
今の会社で給料を増やせない人が次に移ったらきっと増えるとか、
そんなうまいこといくわけないやん! って言いたくなる。」
私
「はい、いかにもESTJらしいご意見ありがとうございました。
まあ確かに、給料ってそういう傾向があるわな。TJ型恐ろしす。
ただ、収入も支出もわりと雑魚な僕の意見で言うと、倹約は倹約で
けっこう脳内麻薬が出るらしいから、増えて嬉しいのもケチって
嬉しいのも、実は似たようなもんなのかもしれんで?」
妻
「それは知ってる。だからこそケチはあかんねん。
私は自分にケチの才能があることを、なんとなくわかるねん。
だから、そうなったらあかんって、いつも自分に言い聞かせてるねん。」
私
「それはつまり要約すると
ケチの大天才であるワタシでさえも自制して思い留まっているというのに、
ケチの才能もない雑魚どもが、タイパとか上級ケチなこと言ってんじゃねえ!
・・・ってこと?」
妻
「そういうことかもしれんw」
そんなわけで、
やっぱりESTJはESTJであることをやめることはできないという話でした。
最終結論が自画自賛で終わるあたり、さすがっていうところかな。