INTP5w6による性格タイプ雑記ブログ

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低確率で大損するか、高確率で小負けするか

もう十年以上前の話になるが、私は不動産を見るのが好きで

競売に参加するために裁判所に足しげく通っていた時期がある。

 

競売参加の手順としては、

 1 ネットで下調べしてアタリをつけたあと、

 2 裁判所や法務局で資料を精査し、

 3 現地調査(近隣住民への聞き込み調査)を行い、

 4 いざ物件に乗り込んで占有者と話をし、

 5 リスクが限度以内なら預託金を払って入札

という具合である。

(上記のうちの3・4はミスをすると挽回できなくなるので、

 多面的な推察や機転が求められ、大変おもしろい部分であった)

 

競売は当初はお得感(市価の半値)もあり魅力的であったが、

以下のような理由で衰退していった。

(※私は業者ではないので素人目線での理由推測である)

 

【衰退理由1】

銀行の任意売却(債権者が物件を競売にかけずに自ら買い手を捜して斡旋すること)

がますます進み、競売におもしろい物件が出てこなくなったこと。

 

【衰退理由2】

裁判所の価格評価が旧来の「路線地価+減価償却」の方法から「収益還元法」という

超アホな方法に切り替わってしまい、最低入札額が現実乖離しはじめたこと。

(収益還元法というのは、その不動産を賃貸に出したときに7年くらいでペイできる金額がその不動産の

 価値だという考え方である。だが実際には賃借する人などおらず、妄想的な高値になりがちであった)

 

【衰退理由3】

スー〇やヤ〇ー不動産などの広告会社が伸びて寡占化し、広告料が爆騰。

そのぶん修繕や販売が薄利になり、業界が敬遠して斜陽化しはじめた。

 

【衰退理由4】

買い取り分野で三井のリ〇ウスという会社が圧勝し始め、効率化されてきたこと。

 

【衰退理由5】

人口減少で不動産そのものが斜陽分野との認識が広がったこと。

 

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さて、べつに不動産屋でもない私が競売の話などを持ち出したのは、

日記の表題のようなことを考えたからである。

 

私は、当時の競売に個人で参加するというのは、

「成功の確率は90%以上であり、総合的な期待値はかなり大きなプラスだと

 誰でもわかっているのだが、もし低確率(1~3%)でハズレ引いてしまうと

 まじで破滅的なダメージを受けるので、多くの人は敬遠する」

という遊びだったと思う。

 

(※ここで言う破滅的なダメージとは

 「無価値な物件に大金を使って大損こいたうえ、更なる損害から身を守るため

  に裁判で1年くらい争い続けねばならず、ついでに半グレとか精神異常者み

  たいな輩に恨まれて執拗な嫌がらせを受け続ける日々」

 とかを想像してもらうとよいかもしれない。平穏とは程遠い感じ?)

 

なお個人の場合と違って、もし業者であれば、

月に何十件もの物件を扱うので、たとえば100件を落札した場合に

そのうちの3件がハズレであっても、さっさと損切りして権利放棄し、

残りの97件でがんばれば済むわけである。

ところが個人でやる場合は資金的に100件も落札できるはずがないので、

もし自分が買った1件がハズレであれば、その打撃を回復することができない。

そういう意味で、個人での参加はかなりアホであり、競売のことは誰でも

知っていたが、実際にやってる人はかなり珍しかったと言える。

 

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さて一方で、パチンコや競馬などに代表されるような、

「多くの人が参加する博打」はどうか?

 

これらは賭け金が小さいため失敗してもダメージが小さい。

そして「ダメならすぐにやめればよい」という意味で確実な退路が

常に用意されており、これなら安心して遊べる。

警戒すべきはサンクコストにあらがえない自分の意志薄弱だけであり、

それ以外は概ね健全と言えるわけである。

 

ただ、やはりいいことばかりではない。

小博打のリスクは、主に以下のようなものである。

 1 非常に稀だが、よほどの意志薄弱だと数千万くらい負けることもあり得る

 2 97%以上の確率でトータル負けるため、高確率で「負け癖」がついてしまう

 3 参加する人が非常に多いため、そこでの経験には希少価値がなさすぎる

 

このなかで私が特に損だと思うのは、2と3だ。

競売は関門を突破すれば物件が残るし経験もつくけど、

小博打の場合、「たまに勝った時の喜びの記憶」以外は何も残ってない

ということになりやすく、金よりも時間の損失が大きい。

 

そういうのは、たいへん損な活動だと思う。

なぜなら人間は社会動物であり、社会動物というのはプラマイゼロのまま

時間を消費すると、不幸になりやすい生き物だからだ。

歳をとり、もう若いとはいえない年齢になってから振り返った時に、

投入した時間の成果物が何も残っていないと、精神的によろしくない。

 

(そういう意味では、もしそれをギャンブルと考えるならばの話だが、最も手ごたえを

 得やすいギャンブルは「子を産み育てること」ような気がする。低確率で子が落命した場合の

 ダメージは競売よりはるかに大きいが、しかし高確率で関門を突破すれば一人の人間が残る)

 

こうして整理してみて、私は

会社を作るという行為は、なんとなく競売に似ているところがあるかもしれない

と思った。今の時代ではもう競売遊びはできないが、会社遊びならできる。

30代前半くらいの人に、ちょうどよいかもしれない。

生命を賭けない範疇で

「数年分の年収を賭ける遊びか、それとも小遣いを賭ける遊びか」

を考えたときに、迷わず前者を選びたいタイプの人は、

たぶん会社を作ったら楽しいのではないかと私は思う。

(なんか自動的に全財産を賭けさせられる感があるけど)