3月ごろに、うつ病でパラサイトをしていたNFJ型の九州の友人が
計測担当として我が社に来るかも、という話を書いた。
その後、友人(Y氏)は二度も入院して、
計画が延び延びになっていたのだが、
先日、Y氏の妹さんから電話があった。
妹さんと話すのは10年ぶりくらいだったので、
私は電話の表示を見てかなり嫌な予感がしたのだが、
残念ながら予感は当たり、
彼女は「兄が死んじゃいました」と言った。
私が「そうですか・・・ひょっとして肝臓ですか?」と聞くと、
妹さんは「そうです、肝硬変です」と言った。
それ以上の詳しいことは、わからない。
ただ、私はY氏が何度も入院するので、
「これはうつ病なんかじゃなくて、アル中なのではないだろうか?」
と、何年か前からうすうす思っていたのである。
彼が最初に入院したのは、私と同じ会社にいたときだった。
思えばその時も、たしか聞いた症状は「幻覚」だった。
壁じゅうを虫が動き回る幻覚で、それがいかに恐ろしいかを、何度か聞いた。
私は「それは大変でしたねー」と素直に反応したが、
よく考えたら、うつ病で幻覚というのは、あまり聞いたことがない。
むしろ幻覚は、アル中の典型的な症状である。
つまり、
「うつ的気分 → 気分を紛らわすために酒を飲む → アル中」
という流れで彼はアル中になり、
これは私から見ると
「病名:アルコール依存症」に該当すると思うのだが、
彼自身は「飲みたくなるのは気分のせい」というこじつけ的理由で
「病名:うつ病」と主張していたのではないかと思われる。
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私はだいぶ前、自分が会社を辞めたときに、しばしの休養ということで
九州の彼の家に一週間ほど遊びに行ったことがあった。
彼は自分の彼女や友人達を毎日のように紹介してくれて、
びっくりするほど親切に、そして賑やかに歓迎してくれた。
(彼は私が会社勤めに疲れて辞めたのだろうと推測して、
全力で励ましてくれてたっぽい。このへん、さすがNFJである)
そのときの彼は元気で、うつ的な気配はあまり感じられなかった。
でも、いつもビールを「プシュッ」と開けていたのが印象的だった。
彼は、「もう二度とうつ病にはなりたくないよ」と言って、
ウォーキングやサイクリングなどの運動を非常に熱心にやっていたが、
(運動をすると脳みそによいのだそうだ)
しかし歩いた後は、当たり前のように必ず「プシュッ」とやっていた。
思えばあのときから、うつ的症状は改善されていても、
真の病巣である「アルコール依存症」のほうは、
あまり改善されてなかったのかもしれない。
(私もたかがビールと思って気にもしなかった。見事に騙された)
その後、私は開業して忙しくなり、彼としばらく疎遠になっていたが、
メールで彼女と別れたと聞いて、驚いたのを憶えている。
ものすごく仲が良いカップルだったから、数年で別れるとは思わなかった。
これは推測であるが、思えばそのころから、
彼はアル中を再び急加速させていたのかもしれない。
(彼女が去ってしまったから酒を飲むようになったのか、
それともアル中がひどくなったから彼女が去ったのか、
そのへんはもうわからない。
ただ女性側がSFJ型っぽい性格だったので、私はなんとなく
後者の可能性が高いのではないかと思っている。)
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私はどうやら、彼の嘘に気付くのが、だいぶ遅かったようだ。
こんなに長い期間にわたって人を騙せるのは、
優秀な第2機能にNiがある人ではないかと思うが、どうなんだろうな?
彼は自分はENFJだ(簡易診断でそう出た)と言っていたが、
INFJではないかとも思え、結局よくわからなかった。
(INFJ4w5のようでもあり、ENFJ4w3のようでもあった)
私は、自分は他人から詐欺られにくい性格だと思っているが、
それは「致命傷になりそうな嘘」についての話であり、
わりとしょうもない「すぐバレる系の嘘」には、誰よりも簡単に騙される
という自信がある。
たとえば「嘘ついて仕事をサボる人」とかには、100%騙される。
(※一時的に騙されてもたいした被害ではない場合、
私は疑うことを時間の無駄だと考えているっぽい。
つまり内容ではなく、ひたすら規模だけで判断している)
いちおう会社を経営する以上、致命傷を受ける可能性はしつこく疑い、
常に最悪のケースを想定して二重三重の防衛策を講じているつもりだが、
たいした被害がなさそうな事柄については超テキトーというか、
疑うということにまったく意義を感じられないので、
相手の言うことをほぼ善意(故意の嘘がない言葉)として聞いている。
(※上記は科学と演技に関する事柄を除く。科学はすべて疑う。
また相手が演技性障害くさい場合は、ほぼすべて嘘と確信しながら、
どんな嘘をつくのかだけを観察している)
Y氏はNFJ型だったから、無意味な嘘をつく演技性障害ではないと判断し、
私は彼が伝えてくる情報は基本的に善意であるという前提で話を聞いていた。
だからY氏にとっては、すごく騙しやすかっただろうと思う。
こうして簡単に騙された私は、Y氏に向かって
「隠れて酒を飲んでるんじゃないか?」
的なことは、一度も言わなかった。当たり前だ。
なぜなら、私は最後まで、彼がうつ病だという前提で話をしていたからである。
私は妻のうつ闘病で苦労した経験があるので、
Y氏にはそれなりに気を遣って対応していた。
(がんばれとか言わないようにしていた)
しかし彼のパラサイトやニートについては、誰よりも露骨に指摘していた。
うつを治すことと、復職する計画を立てることは、相反しないと考えたからだ。
彼の無計画性について、私はメールでも電話でも、ストレートに本音を言った。
相手が年上であることも無視して、きついことをずけずけと言いまくった。
にもかかわらず、いつも連絡をしてくるのは彼のほうからだった。
私は、彼がどうして私を煙たがらないのか不思議に思っていた。
しかし、ようやくその理由が分かった。
彼の不調の原因が、アル中だったからだ。
きっと彼にとっては、
「hiza君は、酒のことをうるさく言わないから好き」
みたいな感じだったのだろう。
彼は最後の最後まで、僕に「謎解き」をさせて遊んでいたのだ。
きっと騙されている私を見て、内心ニヤニヤしていたのだろう。
でも、彼は最後まで騙すつもりだったわけではない。
死因を聞けば、すぐに謎が解けることだからだ。
私が何度も書いて送った「脱うつ計画」のメールは、すべて無駄であった。
それなりに時間をかけて一生懸命書いてるのに響かないなと思っていたが、
今となっては、それで彼が楽しんでくれたなら幸いだったと思う。