INTP5w6による性格タイプ雑記ブログ

MBTI&エニアグラムのよもやまブログ

暴走族な人達

今は滅多に見ないが、かつて「暴走族」というのが世の中に存在した。

わりと画一的なスタイルに改造したオートバイに乗り、

パラリロパラリロと珍妙な騒音をたてながら蛇行して走り、

集団で道路交通法を犯して遊ぶ人たちのことである。

 

私のいた大阪には、数えきれないほど多くの暴走族が存在した。

彼らがそんなことをして何が楽しいのかというと、

それが彼らにとって「支配からの卒業」だったからだ。

 

彼らにとって、支配とは「禁止されること」である。

たとえば日本では、道路の真ん中でうんこをすることは禁じられている。

すると彼らは

「道でうんこをするなだと? 上等だ、やってやるよ!」

という反抗をしたくなるわけである。

 

 

・・・って言ったって、多くの人にはそのロジックが理解不能だろう。

もちろん私も、彼らの言うことには1ミリも共感できない。

しかしエニアグラムを念頭に置けば、頭で理解することはできるはずである。

 

暴走族とは、主に9w8が好んでやる遊びである。

もとがT9であるので、身体的本能である「うんこしたい」という欲求を

制限されてしまうことは、非常に腹立たしいことであろうと理解できる。

彼らは好きな時に食べ、好きなだけ寝て、好きな場所でうんこしたい。

しかし社会はそれを許さない。

いつまでも赤ん坊のままでいることを、許してくれないのである。

 

その抑圧は、どんどん彼らの中で蓄積する。

そしてチャンスがあれば、わざと禁を犯すことで発散させるのだ。

「なんで教師の言うこと聞かないといけないんだ? 上等だ、無視してやるよ!」

「なんで学校で酒を飲んじゃいけないんだ? 上等だ、飲んでやるよ!」

という具合である。

 

だが彼ら9w8は、「w8」なので8力が無い。

すなわち「信念」や「しつこさ」が決定的に欠けているので、

このような目立つ反抗は一人ではやれない。

賛同者が「過半数」になって、みんなと一緒なら、ようやくやれるのだ。

そのためには、賛同者を増やさなくてはならない。

 

賛同者を過半数にするのは、実はそんなに難しくない。

たとえば中学や高校の学級において、

「道でうんこしてもいいと思う人」はもちろん半数未満であろうが、

しかし学級を2つに分断すれば、

2つのうち片方ではうんこ賛成派の割合が増える(他方では減る)。

そして、2つに分断した片方をさらに2つに分断するという行為を

繰り返していけば、2~3回で賛成派が半数を超えることになる。

 

そのような状態、すなわち「反抗のチャンス」になった状況において、

もし彼らが天性の指導者たるT8を招き入れることに成功すれば、

(あるいはT8の代理者たる五w4または2w3を招くことに成功すれば、)

9w8は念願の暴走族を成立させることができるわけである。

 

9w8の顕著な特徴は、自分一人では善悪を判断できないことだ。

本来ならば、もしそこに信念があるならば、

たとえそれが1人でも、たとえそれが大損でも、迷わずやれるはずなのだ。

というか「やらずにはいられない」という状態になるはずで、

それが信念というものであろう。

 

しかし信念や執念がない場合、T9は誰かと一緒じゃないと、やってもいいと思えない。

それが9w8の「w8」という要素であり、

彼らは「リーダーを得ること」と生来の「赤ちゃん力」が合体することで、

ようやくアラレちゃんのように「キャハハハ」と笑いながら楽しく暴走することが

可能となるわけである。

 

 

こうして時代をふりかえってみれば、

かつて日本の暴走族のやっていたことは、

もしこれがいくつかの外国においてなら、

国法への反逆として射殺されても不思議ではないようなことだった。

 

しかし日本はとにかくT9に甘い(というかT9の数がすごく多い)ので、

なんか「バイクを一時的に没収します」とかの超ぬるい処罰だけで、

非常に生温かくみてもらえる時期があったのである。

(最近は「反知性ブーム」もとっくに底を打ち、激甘では済まないような気がするが)

 

 

=============

 

 

さて、暴走族をしていた彼らは、その後どうなったのであろうか。

 

甘い日本でも、さすがに成人が暴走をしたら、普通に有罪になってしまう。

だからもし大人になってもヤンチャしたければ、ヤクザの組に入るしかなかった。

ただヤクザは上下関係や礼儀作法に厳しい世界であり、

目上の者への反抗などもちろん許されない世界であって、

内部での支配関係はむしろ世間よりもすさまじい。

従って、「厳しく統治されたい!支配されるの大好き!」みたいな変態を除き、

多くの9w8は道でうんこすることをあきらめ、

ごく一般的な勤労者となることを選択したのだった。

 

社会人となった9w8は、生来の「あなどれない1力」を隠し持つため、

案外スムーズに職場になじむことができる。

会社では、遅刻や欠勤は「一時的な職務放棄」に該当することであるから、

わりと厳しく追及される。

9w8は、そのようなミスを犯さずに済むだけの規則的習慣力

すなわち「あなどれない1力」を持っているので、

職場では合格点を取りやすいのである。

 

(むしろ1力に欠陥をもつ9w1、2w1、T4、T七などのほうが、

 日本の職場では落ちこぼれやすいかもしれない。

 かく言う私も、自分の遅刻防止には非常に苦労した。

 それが嫌なので、今はほとんど会社で寝泊まりしている。

 私は会社員時代は年に8回くらい遅刻していた。

 まあ中学校では最高38回遅刻というひろゆき並みの異常者だったので、

 これでもがんばったほうだと思うが)

 

ちなみに私の観察では、9w8は繰り返し作業の才能を持っている。

彼らは1対1の人間関係では問題を抱えているはずだが(セクシャル盲点)、

黙々と作業する系の仕事ではその欠点は表出せず、

むしろカウンタウイングの1が、彼らに「ミスのない作業力」という

わりと大きなアドバンテージを提供する。

 

ゆえに彼らは会社になじみやすいのだが、

周囲が決して忘れてはいけないのは、彼ら9w8の

「会社や社会から、動物的本能を禁止されたくない」

という不満は、彼らがおとなしく勤労している間も、

着々と蓄積し続けているということだ。

 

彼らは本当は、

「好きなときに寝て、好きなときにニンニク入りのギョーザを食い、

 好きな時にゲップをして屁をこき、好きな場所でうんこをしたい」

のである。

それが叶うのは、分断された集団の過半数が賛同したときであり、

彼らは持ち前の忍耐力で、じっと反乱の機会を待ち続けているのである。