ダブルバインドという言葉がある。
二重拘束という意味で、多くの人が嫌う状況だ。
たとえば課長から
「どうしてこうなったのか説明しなさい」
と言われて回答すると、横で聞いてた係長から
「つまらない言い訳をするな!」
などと言われてしまったりするような状況のことだ。
(じゃあどうすればいいの?的な)
w6型で著しく協調性に欠ける私は、ダブルバインドされると
相手が客であろうが上司であろうが敵意まる出しで猛抗議するため、
仕事においてダブルバインドされることは少なめだったかもしれない。
しかし、最大のダブルバインドである「政治」については、
私もすっかりお手上げで、ただ傍観しているだけの、お粗末な状態である。
こないだは、E型の人から参議院選挙に行ったかと聞かれ、
行かなかったと答えて咎められてしまった。
私は「いやー、面目ない」としか言えなかった。
(もし行ったら、きっといつも通りNHK党に入れてしまってたので、
「今回は行かないほうがマシだったのでは?」と言おうか迷ったが、
アホな言い訳すんな!と叱られてしまいそうなので黙っておいた)
しかし、私のように「お手上げ」の結論に至ってしまった人間が多くなるのは、
ある種の必然のように思えてならない。
なぜなら、日本の国民が政治について考えると、おそらく以下のAまたはBのような
ダブルバインドな状況となるからだ。
(A)政治に対して「消極的」な生き方をする
→ 政治家が「選挙で選ばれた私の考えは、すでに国民の審査を経ている」
とか言って調子に乗り、ますます税金を吸いまくる
→ クソむかつく
(B)政治に対して「積極的」な生き方をする
→ 身近な人から、
「政治の悪口なんか言ってる暇あったら、もっと仕事とか頑張ればいいのに」
とか言われて、無能扱いされる。
→ クソむかつく
というわけで、
(A)(B)どちらのスタンスを取っても、結局はむかつく状況となるわけだ。
実際問題、もし身近な人が
「勤め先ではへっぽこ社員、家庭では邪魔者扱い」
みたいな状態でありながら、
なぜか政治についてだけ熱く語っていたとしたら、
それを見た多くの人が
「おいおい、そんなこと考えてる場合じゃないやろ」
というツッコミを入れたくなるものであろう。
(※こういうのを「影響の輪」と呼ぶらしい。
自己が影響を及ぼせない領域(輪の外)のことにエネルギーを使いすぎると、
周りから「おもろない奴」と思われて、男女両方からモテなくなる現象のこと)
一般に、日本においては、
日常会話に政治の話など持ち出すのは「野暮」とされる。
特にサービス業の業界では、接客に際しては
「選挙・宗教・プロ野球」の3つの話題は避けよ
が鉄則であると、ずっと言われてきた。
(意見が食い違いやすく、高確率で客を不愉快にさせるから・・・らしい)
ところが、長らくアメリカに住んでいた人の話を聞くと、話がだいぶ違ってくる。
アメリカの人達は、政治や宗教の話をゴリゴリ持ち出してくるという。
もちろん意見が食い違うので、険悪な雰囲気になることもある。
しかしそこはE型、多少険悪なムードさえも、彼らにとっては娯楽なのだ。
社交性がありすぎる人にとっては、
「言葉を交わさないこと」こそが最悪であって、
議論したりケンカしたりすることは、何もないより良いのである。
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私は、ずっと前から思っていた。
アメリカという国は、つくづく政治が得意な国だなあと。
いや、もちろんうまくいっていないことも多々ある(すごく多々ある)のだが、
しかし彼らは、あーだこーだとケンカしながら物事を決めるのが、
根本的に好きなのだ。
人同士が干渉し合って、ボロクソにけなし合って、
ヤジウマも集まりながら、カオスのように決定していく過程を、
まるで娯楽のように楽しんでいる・・・ように見える。
また、「アメリカ=政治が得意」と思わせる理由は、他にもある。
たとえば、
1,ルイン好きー氏と不適切きわまりないことをした苦倫トン氏が、
その後も当たり前のように続投し、現在も尊敬されていること。
(日本だったら・・・以下略)
2,大統領制が機能しているように見えること
(日本は「派閥」だの「院政」だので首相が決まってしまう)
などである。
こう書くと、「隣の芝生は青く見える」現象だと言われるかもしれず、
実際その通りなのかもしれないのだが、
「アメリカの強さの秘訣はどこにあるんだろう?」と
長年考え続けた私としては、
彼らの政治好きがその一因のように思えてならないのである。
(※世間では、アメリカの強さの秘訣として
「世界語である英語を使っている有利さがあるから」とか
「通貨の基準がドルになってるから」とか
「移民によって人口増加を維持してるから」とか、
いろんなことが言われており、
まあたしかにその通りなのだろうけど、
私は彼らの「政治好き」と「兵器量産力」にも注目してきたのである)
また、上記1,2よりも大きな理由として、
3,アメリカ人とよく似たE型人材を好んで集めている日本のT自動車が、
「個々の社員はアホっぽいのが多いのに、全体としてはカシコイ」
という状態であり続けた。
というのがある。
英語だからとかドルだからとかは、T自動車には関係ない。
しかし、彼らはずっと強かった。
そして私は、それが【集団意思の決定方法】にあるような気がしてならなかった。
まあアメリカやT自動車の話は、今後はどうなるかわからないし、
しょせん部外者である私の感想にすぎないので、
個人のたわごととして流してほしいんだけどな。
それでも、日本で「政治=ダブルバインド」ということは、
残念ながら、たぶん間違ってないように思うんだよな・・・。