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後悔の苦しみ

去年の末に、「なごり雪」という曲を聞いた。

有名な曲なので、さすがに私でも知っていたのだが、

歌詞とかよく知らなかったので、「初めてちゃんと聞いた」という意味である。

 

聞いた後、私は激怒した。

「なんじゃこの歌は! おもっきし【後悔の歌】やないか!!」

と。

 

 

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私は後悔をするのが嫌である。

私にとって後悔とは、別の選択をした「自分B」への妬みだからだ。

私は他人を妬むことは滅多にないが、自分への妬みに憑りつかれることはままあり、

非常に苦しい思いをすることになる。

 

この曲の悪魔的なところは、特に3番の歌詞である。

f:id:hizanori_neko:20220224063900j:plain 君が去ったホームに残り 落ちては融ける雪を見ていた

まったく、憎らしい奴らだ。

気持ちを直接書くよりも、情景を使って表現するほうが何倍も威力があると、

NF型の野郎どもは、知り尽くしてやがるのだ。

 

私は、不覚にもこの曲によって呼び起こされてしまった「後悔の苦しみ」から

逃れるために、ありとあらゆる思考をして、この歌の主人公を否定しようとした。

「今すぐ電車に乗れば、まだ間に合うやろ?」とか、

「いっそのこと、お前が女の郷里に引っ越せばええやないか」とか、

「何でもすぐにあきらめやがって、このクズが!」とか、

とにかく主人公への罵詈雑言を並べ立てたのだ。

 

だが、それは無駄な努力であった。

歌に出てくる”僕”を、私は変えることができない。

変えることができるのは、作曲者だけだ。

そして、そもそも私には、

「運命を受け入れることができる人間」を尊敬する気持ちがある。

単に後悔嫌いの私が受動的な生き方を実践できないだけであって、

「なすがまま」に生きることは、決して間違いであるとは言えないのだ。

 

・・・ちくしょうめ。

腹立たしいが、もはや降伏するしかない。

私は長い時間をかけて、ついに、この曲に抵抗するのをあきらめたのだった。

 

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さて、それから2ヵ月半経った今はどうなのかというと、

この曲は、私の実験のお供として、まるで道具のように活用されている。

 

N型諸氏ならわかると思うが、化学系の実験というのは、実に退屈な作業である。

何しろ行動の大半が、器材を用意したり、洗浄したり、温度や圧力を点検したり、

飛び散った液や粉を拭き拭きしたりと、とにかくS的な作業のオンパレードによって

占められているからである。

 

そして気づいたら、この2か月間、私は実験中、ずーっとこの曲を口ずさんでいた。

(口ずさむといっても、歌はうまく歌えないから口笛的な)

 

もちろん実験のために、「目」と「鼻」と「手」は全力で使っている。

だが「耳」と「口」が退屈なので、私はすでに300回は聞いたであろうこの曲を

いつでも脳内再生して聞きながら、口笛もどきをピーピーやることで、

「身体のすべてが退屈じゃないようにするための道具」にしていたのである。

 

そう気づいたとき、私は、「やっと苦しみから解放されたわ」と思ったのであった。

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