こないだAmazonで、「ロバートデニーロ」という俳優が主演の、古い映画を見た。
鑑賞した人の数がすごく多く、なのにレビューの★が4.5もあったので、
ならばと思って見たのだが、まあ確かに、面白い部類の映画であった。
タイトル忘れたので今調べると・・・そうそう、「ミッドナイトラン」だ。
私は俳優とかに疎いのだが、ロバートデニーロという名前は聞いたことがあった。
だからなんとなく、さぞかし格好のいい救世主の役なのだろうと予想していたのだが、
どうやらそういう感じではなく、「ザ・ESTP7w6」みたいなポンコツ役だった。
うん、こういう人、見たことある・・・。
てゆうか、うちのサービス部門にも何人かおるから、むしろよく見る・・・。
ESTP7w6は、端的に言えば、
「おもろい奴だが、衝動的で、協調性がまるでナッシングの人」だ。
デニーロ(の役柄)も、まさにそれであった。
そんなわけで、映画はおもしろかったのだが、
同じくw6族の自分もこれと同じくらい協調性が死んでるのかと思うと、
なんかちょっと恐ろしい気分になるような映画でもあった。
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映画ではなく、実際の話をひとつ。
昔、うちにいたESTP7w6の人で、前職での「成績表」を見せてくれた
おっちゃんがいた。
私は「え?会社に成績表があるんですか?」と驚いたのだが、
たしかにそれは成績表であり、まるで高校生の模擬試験の成績表のように、
小さな紙切れに
技能: 84点 78位/179人中 評「xxについては良」
規律: ・・・・・ 評「・・・・・・・」
忠誠心:・・・・・ 評「・・・・・・・」
意欲: ・・・・・ 評「・・・・・・・」
協調性:・・・・・ 評「・・・・・・・」
みたいに、項目ごとに点数、順位、寸評が記されていたのだ。
私は内心、『忠誠心だと?いったい何様のつもりだこの会社は』と、
その内容(というかE型的な字面)にムカッときながらも、
よくもまあこんなめんどくさい制度を本当に実行したもんだなあと、
ある意味感心しながら、その紙を流し読みで眺めていた。
だが、次の瞬間、私の目は彼の成績表に釘付けになった。
「協調性: 66点 179位/179人中」
という数字が、目に飛び込んできたからだ。
私は思わず、「すげえ、ビリだ! 協調性が単独ビリだ!」と叫んだ。
おっちゃんは、ニヤニヤしながら私の顔を見ていた。
そして、容姿も性格もデニーロに激似のそのおっちゃんに、私は
「これ書いた人、よくわかってますねー!」と言って、2人で大笑いしたのだった。
いったい何をやらかしたのか、彼はあまり語らないが(このへんもデニーロ風味)、
それにしても最下位とは、さすがESTP7w6である。
(このおっちゃんは短所も多々あったが、女性客にたいへん人気があり、
よく働いて稼いでくれる社員だった。惜しくも今は去ってしまったが、
たまにふらっと遊びに来て、一緒にラーメンを食いに行く仲である)
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おっちゃんの協調性をバカにした私だが、
思い返せば、(あまり思い出したくないが)、
私の新入社員時代も、ろくなものではなかった。
私は、私とペアになった入社8年のお兄さん(X氏とする)が、
ちょうど西村ひろゆき氏が推奨するような「タダ乗り社員」で、
そのくせ私にえらそうに命令しやがることに心底ムカつき、
ついに喧嘩を売って、反乱を起こしてしまったのだ。
X氏は、すべての仕事をつまらない「お役所仕事」にしてしまい、
キーボードをポチポチと押しながらひたすら18時になるのを待つ天才だった。
退屈が何より嫌いな私としては、それに付き合わされるだけでも耐えがたいのに、
彼はえらそうな態度で私に次々とゴミ仕事を押し付けてくるので、
いいかげんムカついてしまった私は、X氏をボロカスに面罵した後、
月例のチーム会議でさっそうと手を上げ、発言したのだ。
班長「おう、hiza君、何だい?」
私「班長、僕はこの仕事を、Xさんと一緒にやりたくないです。
Xさんは学校の先輩だそうですが、物理をまるで理解していないです。
△△の式すらも書けないし、そもそも△△の意味自体わかってません。
試しに質問したら、「ちゃんと専門部署に聞け」と言われました。
専門部署って、それはここだと思うのですが。
僕は上司やエルダーの指示を聞くのは当然だと思っていますが、
さすがにここまで無知な人に口出しされると、やりにくいです。
だからこの仕事は、もう僕が1人でやりたいです。
班長、それでもいいですか?」と。
場が凍り付き、シーンとなってしまったのは言うまでもない。
もし私がいた会社に成績表があれば、おそらくこの時点で、私は
「協調性:44点 100位/100人中」とか書かれていただろう。
だが、考課の減点と引き換えに、私の願いは全面的に聞き入れられた。
X氏は別の部へ異動になり、私は新人なのに8年目相当の仕事を
任される身となったのだ。
退屈嫌いの私としては、たとえ失点しても、おもしろいほうがよい。
X氏と一緒に「関連部署へ質問状を書く」みたいなうんこ仕事を毎日する
くらいなら、たとえ白い目で見られても、反乱を起こすほうがマシだ。
数年後、遠くの部署へ異動になったX氏と、食堂で出会った。
X氏は「お前、生意気だったよなあ」と言いながらも、別に怒っていなかった。
X氏いわく、彼は設計の仕事が「まじで苦手だった」のだそうだ。
タダ乗り社員になりたかったのではなく、うまくできないから嫌になったのだと。
「今は、わりと仕事楽しいわ」と言っていた。
(てことで、自分の罪を美化するつもりはないが、ぎりぎり結果オーライだったと
思うことで、どうにか当時の感情を忘却している私である)
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さて、長い前置きだったが、ようやく本題。
【協調性は、会社員に必須の要素なのか?】を考える。
組織で働く以上、そりゃまあ、協調性は重要であろう。
他人と協力できないなら、一人でやれやという話になる。
しかしエニアグラムの解説を見ると、
5w6や7w6という「6力最低コンビ」について、
両者とも協調性が崩壊しているにもかかわらず、
なぜか
「5w6は、組織で働くことをあまり苦としない」
とか
「7w6は、生産的である」
みたいなことが書いてある。
これはいったい、どういうことなのだろうか?
どう考えても、うっとうしいトラブルメーカーなのに。
ひとつ、思い当たることがある。
それは、組織はいつもよい状態にあるというわけではなく、
必ず「よろしくない状態」に陥ってしまうことがあり、
その状態に皆が同調してしまったら、本当にやばいことになるということだ。
すなわち、協調性の欠如によって「よい状態を破壊する奴」はアウトだが、
組織は往々にして残念な状態になる時期があるため、
そういうときに「空気を読めない奴」がたまに役に立つことがあって、
直接被害を受けなかった人のなかには、密かに好意的に見てくれている人もいる。
そのへんのバランスをぎりぎり踏み外さなければ、会社は案外、w6族にも
居場所を与えてくれるということではないかと思われる。
まあ日本は「とりあえずケンカは両成敗」が徹底されている国であり、
w6的な敵対行動は決して褒められた行為ではないと自覚しているが、
それでも「仕事が退屈になってしまうよりは、特攻するほうがいいや」
と思う私である。
自ら損を被る覚悟であれば、自分勝手は多少は許される(減点だけで済む)。
7w6と5w6は、ここだけ少し似てるかもしれない。
自爆攻撃では、決して勝つことはできないが、引き分けにできるのだ。
引き分けになれば、負け癖がつかないから気分がよい。
オカルトチックな言い方だが、負け癖をつけないって、案外重要かもと思う。
そういうのも加味すると、自爆攻撃は見た目ほどには大損というわけではなく、
むしろちょっとお得な場面すらもあると思う。
(ただし「よい状態にある組織の妨害をしない」というのが絶対の条件だが)